作品の作り方をご紹介 ~和紙ころシリーズ~

作品の特徴と作り方

手づくり工房みずのき の作品の作り方の特徴は、和紙を使って色付けをしているところです。

手で細かくちぎった和紙を1枚1枚丁寧に貼り付けていくという様に、和紙のちぎり絵の手法を色付けのベースにして、作品を彩っています。

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ここでは、人気商品の1つ「和紙ころシリーズ 『アスパラのベーコン巻き』」を例にとって、制作方法をご紹介します。

少し長くなりますが、ご一読いただければ嬉しいです。

 

 1.石粉粘土による成形

まずは、粘土を使って成形を行います。 

材料には下の写真のような石粉粘土を使っています。石粉粘土は均一なサイズの石の粉と樹脂からなる粘土です。 

手づくり工房みずのきでは、制作する作品によって、重さの違う粘土を使い分けて使用しています。

例えば身に付けることが多いアクセサリー類には軽い粘土を、置き物や一輪挿しなどのようなインテリア雑貨には重めの粘土を使います。 

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成形は、基本的に型は使わず、全て手作業で行います(一部の作品では型を使用する場合もあります)。

 

『アスパラのベーコン巻き』を成形する際には、下の写真のようにアスパラとベーコンを別々に作り、最後に巻いて仕上げています。本物のベーコン巻きと同じ要領です♪ 

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2.下地ニスの塗布

次に、完成した成形物に対して、下地ニスを塗っていきます。

下地ニスを塗ることで、成形物の表面に無色透明の樹脂の層ができます。

樹脂の層ができることで、次工程の着色作業(和紙の貼り付け)が行いやすくなり、また、仕上がりもきれいになります。

成形物の細かい形の部分にも ムラなくニスを塗るために、細い筆を使って丁寧に塗っていきます。 

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3.和紙による色付け

いよいよ一番の特徴である和紙による色付け工程です。

130種類以上の和紙の中から、モチーフに一番合う和紙を選んでいきます。

色合いは勿論、和紙の厚みやしわの入り方、漉き込まれている繊維質の多さなど、どの和紙をどのように使うかを考えながら デザインを決めていきます。

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(ちなみに、『アスパラのベーコン巻き』の場合は、上の写真に写っております10種類の和紙を色付けに使います。)

 

使用する和紙とデザインが決まれば、いよいよ和紙を貼っていきます。和紙を手でちぎり、糊で一枚一枚貼り付けていくという作業です。必要に応じて、和紙をハサミで切る場合や、専用の道具で切り抜く場合もあります。

 

まずはアスパラの色付け方法を説明します。

アスパラの茎の部分には黄緑色の和紙を、頭の部分には2種類の濃い緑色の和紙を使います。

頭の部分については、本物のアスパラをご覧いただくとわかるように、微妙に色合いの異なる葉が連なって、複雑な模様となっています。この特徴を表現するために、頭の部分の着色には2種類の和紙を組み合わせて使用します。

下の写真のように和紙を小さくちぎって丸め、頭の部分のつぶつぶ模様を作ります。 

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次はベーコンの色付け方法です。

ベーコンの色付けは、赤身の部分には オレンジ色と薄い白桃色の和紙を使い、脂身の部分には 薄桃色と薄い白桃色の和紙を使うという様に、部位によって色付けに用いる和紙を使い分けています

下の写真のように、白桃色の透ける和紙を重ねて貼ることで、脂身の様子がうまく表現できます。 

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最後に茶色系の和紙を貼り付けて焦げ目をつけていきます。焦げの強弱を表現するために、こちらも複数の種類の和紙を組み合わせます。

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アスパラのベーコン巻き、美味しそうに焼き上がりました♪


4.各種コーティング

無事に色付けが完了すると、次はコーティング工程です。作品のデザインや用途に合わせて、目的に応じたコーティングを施していきます

デザイン面では、作品にツヤを出したいか、あるいは和紙の繊維感を残したいかなどによって、コーティングの種類やコーティングの厚みを決めていきます。今回ご紹介のアスパラのベーコン巻きの場合は、調理後の照り感を表現するために、ツヤだしコーティングを行っています。

また実用的な点では、和紙の保護・はがれ防止や、防水性、日焼けによる変色対策などを目的として、各種コーティングの組み合わせを考えて仕上げていきます。

下の写真はコーティング後のアスパラのベーコン巻き。ツヤが出て美味しそうです♪

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5.金具の取り付け

今回ご紹介した『和紙ころシリーズ』の作品は、ストラップやキーホルダー等のステーショナリー系から、イヤリング・ピアス、ネックレスなどのアクセサリー類まで、お客様のご要望に合わせて、様々な種類の金具を取り付けてお渡ししております。 

 

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今回はキーホルダーにしてみました♪

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金具を取り付け、無事完成です!

 

 

作品の制作方法のご紹介、いかがだったでしょうか。

今回は『和紙ころシリーズ』の作品を例にご紹介しましたが、

和紙で着色した他の作品も、同様の手順で制作しています。

 

手づくり工房みずのきでは、今回ご紹介したような立体物の雑貨の他、

和紙のちぎり絵(原画)をはじめとするイラスト系雑貨も制作しております。

 

和紙独特の色合いや風合いが伝わるように心を込めて制作しております。

和紙のやさしい雰囲気や温かさを、皆さまにも感じていただけましたら嬉しいです。